では、圧力鍋を使って玄米を発芽させ、粒の芯までしっかり炊きあげる方法を紹介します。
この方法なら、玄米の「旨み成分」や「(抗がん成分を含めた)各種栄養素」を十分に引き出せますので、玄米食を楽しく続けることが出来ると思います。
最近は全自動で玄米を発芽させて(4時間から6時間)保温までしてくれるというスゲー炊飯器があるらしいですが、私は圧力鍋で玄米を炊いています。
というのも、圧力鍋で玄米を炊いている知り合いがいて、その人の家にお邪魔したとき、玄米をごちそうになったことがあるんです。
それが普段食べている玄米とはあまりにも食感が違っていて、「ほんとに玄米なの?白米より柔らかくてモチモチしてるじゃん!これ、なんてやつ?」って、思わず叫んでしまいました。(笑)
そうすると、知り合いの身内の人が顔を出してきました。
この方は健康志向のお店を経営している本物の職人さんでした。どうりでおいしいわけです。
職人:「どうだ、うめーだろ(^ー^)」
私:「マジパネェっす!いったいどんな玄米使ってるんすか?」
職人:「ところがどっこい、玄米じゃーねぇーんだよなぁ、圧力鍋を使えばお前さんの玄米でもおんなじように炊けるぜ!」
私:「マジパネェっす!マジパネェっす!」
私もその職人さんもそんな言葉遣いはしていないのですが、そのときの様子はこんな感じでした。(笑)
普通に柔らかいので「7分づきでしょ?」って聞いたんですが、「米を見て3分づきか5分づきか7分づきか分からねーようじゃあ、まだまだだな(^ー^)」と、逆にやりかえされちゃいました。(苦笑)いや~、マジパネェっす・・・。
籾殻を取っただけの普通の玄米だそうです。
私と食べている玄米と同じ・・・。
それでなんでこうも食感が違うの?味も香ばしさを増してるし・・・。
ダメ出しされてもめげなかった私は、なんとかして職人さんから「玄米の秘伝の炊き方」を教えてもらおうとあれこれ画策しました。(笑)
これで商売しているわけですからもちろん無理でしたが、私の病気のことも知っていましたし、私の必死さも伝わったようなので、「秘伝そのもの」ではないけど、「圧力鍋を使って玄米を炊く方法」を直々に教えてくれることになりました。
職人:「今度お前さんがいつも食べている玄米を持ってきな。それでおんなじものを作ってやる。」
いちいち格好いい人です。(^^;
それから何日か経ったあとに、玄米を持って家にお邪魔しました。
その職人さんは私が持ってきた玄米を、洗米する前に手触りしたり何粒か口に含んだりして、
職人:「いい米使ってるじゃねーか!見る目があるのかないのか分かんねーやつだな(^ー^)
ど、どうやら米選びは間違ってはいなかったようです。(^^;
そして職人さんの宣言どおり、白米並みに柔らかくてモチモチしている玄米が炊き上がりました。「いかに今までの炊き方が間違っていたのか」が、よく分かりました。
繰り返しますが、
本当にその通りでした。職人さんによると、米によって
- 炊飯時間
- 水の浸水時間や分量
- 火力や加熱時間
- 圧力のかけ方
が違ってくるので、「私が普段食べている玄米を持ってこさせて、どんな玄米か調べる必要があった」と言っていました。
私の玄米は皮が堅いそうなので、「水の量」「浸水時間」「圧力のかけ方」を、少し工夫する必要があると言っていました。(ここまでしてくれて、Tさん本当にありがとうございました。)
ですから、これから紹介する「圧力鍋を使った玄米の炊き方」は、私が普段食べている福岡江久母さんの無農薬&無肥料玄米専用の炊き方なので、もしかしたらあまり参考にはならないかもしれませんが、(米に限らず)圧力鍋で調理する場合、上に挙げた4つのポイントが調理を重ねるうちに経験的に分かってくるものなので、これを目安に自分の「お好みの硬さ」「お好みの味」を見つけていただけたら、と思います。
ということで、前置きが長くなりましたが、「素人でも簡単に出来る!圧力鍋を使って玄米を発芽させ、ふっくらもちもち玄米の美味しい炊き方」をご紹介します。圧力鍋を初めて握った私でもすぐに出来ましたので、男女問わずすぐに作れると思います。ではでは、いきましょう!
やかんで40℃前後のぬるま湯を沸かし、圧力鍋に移す。
ぬるま湯は、圧力鍋の半分くらいの容量になるようにします。
こういう感じです。水温が結構大事なので、水温計などできっちり水温を40℃前後になるように、水を足すなどして調整しておいて下さい。
「水の量多くね?(´・ω・`)」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、その理由は後で説明します。
因みに、なんで「40℃前後」と曖昧なのかと言いますと、米によって浸水の最適温度が違うからです。私の玄米の場合は40℃よりちょっと低めが良いような気がします。
また、私はお湯を沸かしている間にサッと洗米を済ませています。「あまりゴシゴシするな。軽く揉む程度でいい」と、職人Tさんも言っていました。
お湯を圧力鍋に移し、そこに玄米3合(540ml:4~6人分)と雑穀米を入れ、蓋をして4時間~6時間放置する。
図のようにして玄米や雑穀米を圧力鍋に入れ、きっちり蓋を閉めます。そして一晩中ほったらかしにしておくんですね。
一晩中と書きましたが、私の場合は夜眠る前に一連の準備を済ませています。(※カメラも、眠るちょい前に撮っています)
次の日の昼前には既に浸水時間を満たしているので、さっと水換えして玄米を炊いています。
と感じるかもしれませんが、お湯を沸かし、それを鍋に移して玄米と雑穀米を入れるだけですから、10分もあれば出来てしまいます。ですから、意外とそうでもないんですね。やってみたら分かります。
で、次の日に玄米を炊くわけですが、圧力鍋なら1時間もあれば炊けちゃいます。
4時間くらい遡って準備しなければならない炊飯器と比べて短時間で調理出来る為、かなり経済的ですし、むしろ時間や労力が省けると思います。
今回紹介する方法は、ただ単に玄米をふっくらモチモチ炊き上げるだけではありません。
「職人Tさん秘伝の炊き方」では、炊き上げる前の工程で玄米を発芽(もしくは発芽状態)させるのですが、なんとこの方法を使えば、発芽するのに最低でも1日か2日はかかる玄米が、たった4時間から6時間で発芽させることが出来るのです。
職人Tさんは自慢げにそう言ってましたね。(^^;
まぁ、確かにこの短時間で玄米を発芽させてしまうのは凄いです。
因みに、これがたった4~6時間で発芽させた玄米です。
発芽しているのもあればしていないのもありますが、職人Tさんが言うには、この工程で発芽していない玄米がたくさんあっても問題ないんだとか・・・。
というのも、芽が出ていなくても「発芽の兆候が見られる状態(発芽状態)」になっていれば、既に玄米の芯まで水分が浸透しているのでふっくら炊き上げることが出来るし、「発芽抑制因子(アブシジン酸)」の呪いも解けて、「発芽促進因子」が活性化している状態になっているそうです。
発芽促進因子が活性化する条件は、「水」「温度」「酸素」です。
酸素は水中に含まれていますので、実質「水」と「温度」だけ考えていればいいのですが、浸水中の玄米にたくさんの酸素を送るために、水は多いほうがいいのです。①の方で鍋の半分ほど水を入れたのは、そういう理由があるわけですね。
「米粒全体が水に浸かる程度の水量で良い」という意見もありますが、それでは酸素を玄米に十分供給できませんし、水量が足りないと水温が冷めるのが早くなりますからね。
圧力鍋の蓋をキッチリ閉めれば魔法瓶的な役割を果たしてくれますが、それでも水温が冷めるのが早いことには変わりはありません。浸水用の水は、たくさん入れるに越したことはないのです。
また、「水に浸け過ぎると味も落ちて米粒が痛む」という意見もあります。
しかし、米は一定量の水分を吸収すれば、それ以上は吸い込みませんし、4~6時間程度で味が落ちたり米粒が痛んだりすることはありません。もしあるとすれば、その米は「品質が悪い」か「生命力がない」ということなので、次回から買わなければいいと思います。
水を入れ替える。
さて、玄米を十分に浸水させたあと、いよいよ炊くことになりますが、その前に水を入れ替えします。
少し堅めに炊きたい人は、玄米1合につき、水も1合分(180ml)。柔らかめに炊きたい人は、玄米1合につき、水は1.5合分(270ml)を目安に水の分量を調整して下さい。
職人Tさんによると、水の分量で圧力のかかり具合が決まると言っていたので、ここは大事な工程らしいです。
確かに玄米1合に対して、水1.5にするか1.3にするかで結構食感が違ってくるので、何回も調理を重ねながら自分の好みのポイントを見つけていただけたらと思います。
「中火」にかける。
キッチリ蓋が閉まって「圧力がかかる状態になっている」ことを確認したあとで、「中火」にかけます。
って、男性ならすぐにツッコミたくなると思いますので、(私がそうでした 笑)簡単な表を作りました。
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強火 炎が鍋底に満遍なく行き届いている状態。一番火力が強い。炒め物、肉や魚を焼く時に用いられる。 |
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中火 炎の先端が鍋底に当たるか当たらないかの状態。野菜を茹でたり、料理のアク取り時に用いられる。強火だとアクが散る。 |
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弱火 中火の炎の高さの半分くらいの状態。食材の芯までじっくり火を通す時に用いられる。 |
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極弱火(とろ火) かろうじて炎がついている状態。長時間炊いたり煮込んだりする時に使われる。 |
この表を参考にして火力を調整していただければいいのですが、最終的には圧力のかかり具合によって火力を調整するようにします。
しばらく加熱していくと圧力表示器の目盛りが2段目まで上がってきます。
そこで火力を絞り、「15分の間は2段目の目盛りで安定するように、火力を調節する」ようにします。
15分間は、その火力・圧力でじっくり炊くようにします。
5分間「強火」にかける。
5分間「強火」にかけます。
圧力表示器が2目盛り目を少し超える程度で安定するように火力を調整します。
圧力のかかり過ぎにはくれぐれも注意して下さい。
職人Tさんによれば、この工程で「小さなカニ穴」というものができ、全ての米粒に「熱」「圧力」「水蒸気(水分)」が満遍なく行き渡るそうです。
このカニ穴が出来れば、弱火や余熱調理でも十分に熱を通せるようになります。
20分間「極弱火」にかける。
この段階までくれば、鍋の中に玄米を炊く為の理想の環境が作られていますので、「極弱火」でじっくり玄米に熱を通します。圧力表示器は気にしなくて構いません。
火を消して、15分間
「蒸す」。
火を消すことによって徐々に圧力が下がっていくので、米粒が蒸らされながら、ゆっくりと水分を吸収していきます。
そうすることで、ふっくらとして芯まで柔らかくなったツヤのある玄米になります。
また、玄米をなるべく多く炊いたほうが、鍋の中で玄米がぎっしり詰まって余熱が逃げにくいので、より美味しく炊けます。
ただ、これは圧力鍋の大きさに関係してくる話だと思いますので、ご自身の持っておられる圧力鍋の大きさを考慮しながら「1度に炊く量」を決められたらいいと思います。
私のような料理初心者の方も読んでいるかもしれないので念の為に言っておきますが、必ず圧力表示器が下がりきってから蓋を開けるようにして下さい。「突沸現象」というものがあるらしいです。(参考 → ほぼ日刊イトイ新聞-主婦と科学。)
私の場合は圧力表示器が下がりきってもすぐに開けずに、5分くらい経ったら鍋を軽くゆすった後で少しずつ蓋を開けるようにしています。職人Tさんによると、「これが一番安全な蓋の開けかただ(`・ω・´)キリッ」と言っていました。
以上が、私が職人Tさんから習った「秘伝の玄米の炊き方」です。
あとは炊き上がった玄米をかき混ぜながら炊飯器に移し、保温状態でいつでも好きな時に食べられるようにしています。
私は小さい頃からよく質問する子供でした。
今回もTさんを質問責めにしたのですが、(笑)その都度丁寧に答えて下さり、1つ1つの工程全てに意味があって本当に感心させられました。料理って奥が深い・・・。
よかったら試してみて下さいませ。マジでおいしいです。(^ー^)