フィチンとフィチン酸の違い

  • フィチン酸(略称IP6)は、まだ他の物質と結合する力がある
  • フィチン(フィチン酸塩とも呼ばれる)は、他の物質と結合する力はない

簡単に説明すると、両者の違いは上記になります。

そして、玄米などの種子類に含まれているものは、フィチン酸ではなく、「フィチン」という形で存在しています。

つまり、様々な栄養成分(※もちろん有害成分も含みます)と結合しきって、これ以上他の物質と結合できない状態で安定して存在しているのです。

例えば、フィチン酸がミネラル4個と結合し、これ以上他の物質と結合出来ない形で「フィチン」として安定しているとしましょう。自然の状態で穀物中に含まれているのはこのような形です。

このフィチンが体内に入ります。

フィチンが体内に入ると、「フィチン酸 + 4個のミネラル」となって、4個のミネラルがフィチンから遊離した状態になります。専門家も含め、ほとんどの方はこの状態のフィチン酸が「危ない」と言ってるわけですね。

フィチンがフィチン酸になると、他の物質と結合出来るようになりますから、体内に存在する4個のミネラルと再結合します。また、フィチンに戻ります。

そうやって、フィチンはフィチン酸になったりフィチンになったりを繰り返して、体内から排出されていきます。

さて、体内に存在するミネラルの量は減ったでしょうか?

4個のミネラルと結合しているフィチンが入ってきて、フィチン酸が4個のミネラルと結合して体内から排出される・・・。

減ってませんよね?

単純に算数の問題です。

こうやって論理的に考えれば、フィチン酸によってミネラル不足になることは考えられないです。

理論上ではそうなるのですが、実際にはもう少し複雑な化学反応が起きていますし、理論と現実は必ずしも一致しません。

では、実際はどうなのでしょうか?フィチンを豊富に含んだ玄米などの食べ物を定期的に摂取していると、ミネラル欠乏になるのでしょうか?

過去にヒトや動物を対象にしたフィチンとミネラルの関係を研究した論文がいくつかあり、それによると、「フィチンのキレート作用(※)によるミネラル欠乏のリスクはない」ことが証明されています。(※「キレート作用」とはミネラルなどの金属元素と結合して体外から排出してしまう作用のこと)

エルンスト・グラーフ博士と彼の助手、ジョン・イートンは1984年、微量鉱物元素と結合した『フィチン』は、その結合を簡単に離し、離れたミネラルが体内に吸収されることを示しています。

さらに、フィチン酸があるほうがミネラルが吸収されやすいことを示しています。


日本の大川順正博士は1984年高カルシウム尿症の患者の追跡調査で、患者に『フィチン(IP6)』を高濃度に含有する米ぬかを連日10グラム2年間投与しました。

その結果、血清中のカルシウム、リン酸化合物、あるいはマグネシウムの濃度に有意な低下はありませんでした。

すなわち、またもやIP6の有する微量元素気レート作用が生態に及ぼすかもしれないという危惧を吹き飛ばす結果になったのです。

(出典:アブルカラム・M・シャムスデン著、坂本孝作訳『天然坑ガン物質IP6の驚異』講談社、2000.9.20発行、144頁より引用)

このように、フィチンによるミネラル欠乏は杞憂であることが分かります。
ミネラル欠乏どころか、逆にミネラル吸収効率が上がった報告もあるくらいです。

さらに言えば、フィチンは玄米以外にも豆類や未精製の穀物に多く含まれています。

食品中のフィチン(IP6)の含有量(%)

もしフィチンがミネラル欠乏を起こすなら、玄米よりフィチンが多く含まれている小麦や大豆などを食べてもミネラル欠乏を起こしそうなものですが、そのような話は聞いたことがありません。

玄米に含まれているフィチンに対しては批判するのに、玄米以外の上記に示した食物に対してはなんの声も上げない理由がよく分かりません。

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