アクリルアミドの危険性について

アクリルアミドについては、過去にも質問を受けていますので、
そのときの返答を以下にコピペします。

ここから—–

T様、質問ありがとうございます。

アクリルアミドの発がん性に関してですが、これによる毒性が問題となってくるのは「摂取量」だと理解しています。

すなわち、アクリルアミドが発生しやすい条件「高温(120℃以上)」「糖」「アスパラギン酸」の3つが揃い、長時間で調理すればするほど大量に発生するのですが、おそらく圧力鍋を用いた時でも発生していると思われます。

ただ、私の意見としては発生する量そのものがとても少ないし、心配するほどではないと思います。

というのも、確かにアクリルアミドは国際がん研究機関 (IARC)が発表した発ガンリスク一覧表では「ヒトに対しておそらく発がん性がある物質(グループ2A)」に属していて、2007年にHogervorstらが報告したオランダの疫学調査結果でも、ヒトに対する発がん性が認められましたが、

ABSTRACT. Background: Acrylamide, a probable human carcinogen, was recently detected in various heat-treated carbohydrate-rich foods. Epidemiologic studies on

「アクリルアミドを1日どれくらい摂取すれば、神経毒や発ガンする確率がどれくらい上がるのか」はまだよく分かっていません。そして上記のオランダの試験では、介入群が1日どれくらいのアクリルアミドを摂取していたかの具体的数値が示されていません。

その代わりに、アクリルアミドの摂取量が最も多い集団と、最も少ない集団を比較しています。

「アクリルアミドの多い集団は、アクリルアミドの多い食べ物を食べている」

と考えると、

ポテトチップ、フライドポテト、ほうじ茶、麦茶、中国茶、ココア、コーヒー、かりんとう、アーモンド、ビスケット、クッキー、クラッカー、芋けんぴ、きな粉、カレー粉、インスタントラーメン

などを食べることが多い集団だろうと推測されます。

因みに、ポテトチップに含まれているアクリルアミドの量は3000(ng/g)を超えています。

翻って、玄米を圧力鍋で炊いたときに発生するアクリルアミドの量は、発芽玄米の場合は0.17(ng/g)です。(※分かりやすいように単位を揃えています)

日本における炊飯米由来のアクリルアミド摂取量評価 吉田 充 , 三好 恵子 , 堀端 薫 , 水上 裕造 , 竹中 真紀子 , 安井 明美 日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Fo...

つまり、圧力鍋で発芽玄米を炊いたときに発生するアクリルアミドの量は、発がん性があるとされる量と比べて極めて微量です。おそらく神経毒もほとんど問題ないと思われます。

また、根拠としては薄いかもしれませんが、圧力炊飯器で炊いた時にアクリルアミドが検出されるかどうかを実験したページがあるのですが、検出されなかったようです。

もちろん圧力鍋と単純比較は出来ませんが、たとえアクリルアミドが発生していたとしても、心配する量ではないと思います。

アクリルアミドを心配するなら、上記に挙げたような食べ物(特にフライされたお菓子)を控えたほうがいいと思います。玄米や白米の何千倍ですからね・・・。

また、圧力鍋で炊いても、アクリルアミドは発生しないと主張する記事もあります。

もっと言えば、アクリルアミドの発生と関連するものは、「温度」「糖」「アスパラギン酸」であって、圧力が関係しているかどうかははっきりしていません。

どうしてもアクリルアミドが心配であれば、温度を120℃以下に設定すれば良いと思いますが、圧力鍋の場合、どうしても「感覚」で火加減を調節しなければならないので、なかなか難しいところですね・・・。

ただ、アクリルアミドの有害性については、少なくとも発芽玄米を圧力鍋で炊く程度であれば、特に問題視する必要はないかと思います。

私は、もう何年も発芽玄米を食べていますが、炊き方を改めてからは特に体調がおかしくなったとか、衰弱していったとかは一切ありませんので大丈夫でしょう。

参考になれば、幸いです。


N様、コメントありがとうございます。

>こうした焙煎処理の場合も、
圧力鍋での炊飯の際に出るアクリルアミドと
同等程度の量だと考えて良いのでしょうか?

焙煎処理ということで超高温ですので、圧力鍋で普通に炊く時よりもアクリルアミド産生量は増えると思います。

確かにアクリルアミドには発がん性がありますが、私の意見としては、アクリルアミドの害についてはほとんど考慮しなくてもよいのではないかと思っています。

というのも、「食品健康影響評価(自ら評価)を行うためのアクリルアミドに関する情報収集と分析」によりますと、アクリルアミドが発がんの危険を及ぼす摂取量の信頼下限値(BMDL)は、300μgだからです。

玄米を圧力鍋で炊いたときに発生するアクリルアミドの量は、発芽玄米の場合は0.17(ng/g)です。(参考:日本における炊飯米由来のアクリルアミド摂取量評価)単位を揃えると、0.00017(μg/g)です。

茶碗の大盛が200gらしいので、それで計算しますと、1回で食べる発芽玄米に含まれているアクリルアミド摂取量は0.034μgです。信頼下限値(BMDL)の、実に0.00113333倍です。

他の食べ物の例を考える限り、焙煎処理によってアクリルアミドが増える量は、多く見積もっても5倍から10倍ですから、0.34μgです。それでも300μgには全く満たないので、おそらく安全だと思います。

しかし、オランダの研究によると、40.8μgのアクリルアミド摂取量で13年間経過をみていると、腎癌になるリスクが59%高くなったという研究報告があります。

HealthDayによれば、アクリルアミド含有量が多いフライドポテト、ケーキ、お...

ですから、信頼下限値(BMDL)が本当に300μgなのかは怪しいところだと思います。

アクリルアミドが最も含まれているスナック菓子であれば、40.8μgという値はすぐに到達します。

例えば、ポテトチップスであれば3.5μg/gですから、
100g食べると信頼下限値(BMDL)の300μgをゆうに超えてしまいます。

発がんリスクが上がるとして、

「どれほど上げるか?」

それが一番考えるべき問題ですが、アクリルアミドの発がんリスクを気にするなら、「スナック菓子の摂取量」さえ注意すればよいと思います。

アクリルアミドは体内に蓄積されずに速やかに排出されますし、
酸素や水で分解されますし、
呼吸でもアクリルアミドを多少取り入れているわけですから、
あまり気になさらないほうがよろしいかと思います。

参考になれば、幸いです。

ここまで—–

薬でも食べ物でも何でもそうなのですが、毒性を測る場合「摂取量」を抜きにしては判断出来ません。

医薬品もきちんと用法・容量を守って正しく使えば、体に有用な効果をもたらしますが、用法、特に容量(摂取量)を間違えば、たちまち毒になります。

水だって塩だって、摂り過ぎると死にますよね?
しかし、適量であればどうってことありません。それと同じです。

このことは、美容や健康に関心がある人に陥りがちなワナです。
体に良い食べ物であっても、少しでもマイナス点があると排除してしまう傾向があります。

「どれだけ」体に良いのか?「どれだけ」体に悪いのか?

で、判断しようとせず、

単に「良い」「悪い」で判断してしまうからです。

物事を絶対化してしまい、善悪を(勝手に)決めつけてしまい、相対的な視点や総合的な視点から物事を判断できないのです。

どんな薬にも、
どんな食べ物にも、
どんな健康法&美容法にも、
必ずメリットとデメリットが存在します。
どちらか一方しかないというのは、現実的にはあり得ません。

別な視点から物事を眺めてみたり、様々な視点を考慮しつつ、
総合的に判断することが大切だと思います。

アクリルアミドに発がん性があるのは間違いのない事実ですが、全く無視できるレベルです。

一方で、玄米から得られる恩恵は、これまでに解説してきたとおりです。

そろそろ玄米が「健康食」か「不健康食」かに決着をつけようと思う
大腸がんの手術から、1年と3ヶ月が過ぎました。完治(再発なしで5年経過が一つの目安)まではほど遠いですが、抗がん剤治療をせずに、...

それらの情報を総合的に判断し、「食べたほうが良いのか」「食べないほうが良いのか」を決められたらいいと思います。

怪しい健康情報は、微量ならばOKの物質を、まるで青酸カリのように扱い、ことさら危険性を強調し、少しでも摂取すると即死するかのような、誤った情報を発信しています。

農薬に関してもそう、大豆に関してもそう、タンパク質分解酵素の働きをジャマする物質に関してもそうです。

全ては摂取量の問題であり、「どれだけ摂取すれば毒性が出てくるか」を考えないといけません。

普通に私達が食べている量であれば、まず問題ないと思います。

少しでも参考になれば、幸いです。

新里悟

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コメント

  1. シャナ より:

    ご丁寧な返信本当にありがとうございます。新里さんの情報を読み、色々検討した結果、玄米食を再開しました。サプリなど何かを追加する方法より、毎日食べるご飯を変えるだけの方が私には続けられると思ったからです。

    自動で玄米を発芽させて炊き、そのまま保温して寝かせ玄米にできるCUCKOOという炊飯器を購入しました。圧力で炊く玄米はやはり美味しいですね。胃に感じる負担はなく家族も美味しく食べています。

    ご提案頂いたように、この炊飯器と今までの炊飯器を2つ使い寝かせ玄米を確保しています。

    また、かつて新里さんがおススメされていた玄米も試してみようと思います。

    身体だけではなく、心の健康にも目を止めて笑顔で前を向いて生活したいと思います。

    これからも新里さんの活動、応援しています!

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