「野菜そのもの」よりも、煮汁のほうに価値がある!?

前回までのあらすじ

そんなファイトケミカルですが、上記の本を書かれた高橋弘先生は、このようなことを仰っています。

ファイトケミカルは植物の細胞内に含まれる安定した物質です。
そのため私たち人間の体内で吸収するためには細胞膜を壊したうえで摂取しなければなりませんが、残念ながらミキサーなどで破砕した程度では細胞膜は壊れません。

当然、ファイトケミカルもうまく摂取できません。しかし熱を加えるとずっと効果的にファイトケミカルを摂取できます。

すなわち、野菜のファイトケミカルは熱を加えることで自然に細胞外に溶け出し、ある一定時間煮出し続けると、その効力の8~9割が煮汁に溶出します。

もちろん、その効力には強力な抗酸化作用、免疫増強作用、抗がん効果も含まれています。じっさい、生野菜ジュースに比べ、同じ野菜を煮出したスープ(上澄み)には10~100倍もの抗酸化作用が潜んでいることが証明されています。

※文字装飾は管理人による

出典:ファイトケミカル食革命

私はこの文章を読んだとき、にわかに信じられませんでした・・・。

「その効力の8~9割が煮汁に溶出す」ということは、野菜そのものより煮汁のほうが栄養価が高いということになります。

高橋先生は「野菜はガン予防に有効か」を書かれた前田浩先生の研究を元にそのような主張をされているように思うので、情報元であるこの本にあたってみました。23ページに以下のようなことが書かれていました。

我々の、とくに抗酸素ラジカル成分(本書では酸素ラジカルを活性酸素と同義語的に使用、次章で詳しく述べる)の有用性に基づいた実験結果からいえることは、抗ラジカル成分は常温においては、生のままでは野菜の植物細胞の内部から外へは、つまり細胞の外側の水の中へはほとんど(90%以上は)抽出されてこない。

ビタミンCなどの水溶性ビタミンは勿論、いくつかの脂溶成分も含めて80%以上は上澄(汁)中に出てくると考えられるのである。つまり、加熱して植物の細胞壁を壊すことによって初めてこのような有用成分が生体にavailable(利用可能)な【バイオアベイラブル】な状態になってくるといえる。

一般に、多くの市井人はビタミンCの加熱による分解(酸化)があまりにも宣伝されたために、それによる栄養価の低下が心配で、野菜は生で摂ることによるメリットがはるかに大きいと信じている。

しかし、じゃがいもや多くの野菜等のまるごとの加熱では大半、場合によってはほとんどが分解されることなく、ビタミンCは安定に残っているのである(つまり試験管内の水溶液でのモデル実験とは全く異なる)。これは他の抗酸化成分と共存しているためである。

出典:前田浩著「野菜はガン予防に有効か」

上記の引用箇所は全て重要なので、あえて文字装飾はしませんでした。
前田先生の行った研究結果は以下のようなものです。

野菜の煮沸後抽出物の抗脂質ラジカル活性の比較

抗酸化力と抗腫瘍効果の関係

前田先生は、以下のようにはっきりと明言しています・・・。

野菜一般の熱水抽出成分(煮汁やスープ)の中には、生と比べて2~100倍以上の有効成分が溶け出しているので、煮汁(茹で汁)を捨てることのロスのほうが重大である。

高橋先生も「蕎麦(そば)は、汁ごといただきなさい」と仰っています。

蕎麦(そば)のファイトケミカルである「ルチン」が汁に溶け出しているので、「そのぶん塩分や脂分の摂取が増えたとしても、なおメリットが大きい」と言いたいのだと思います。

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