近藤誠VS宇山一朗

近藤誠VS宇山一朗
出典:zakzak

少し前に、「がんもどき理論」や「がんの放置療法」で、世のお医者さんたちをブチ切れさせている近藤先生が討論番組に出ていましたね。

受けて立ったのは、国内で初めて手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使っての胃がん手術を成功させた宇山一朗医師。「神の手を持つスーパードクター」と言われている方らしいです。

近藤さんは、私が抗がん剤治療をするかしないかの時に参考にさせて頂いた医師の一人ですし、彼がテレビに出演するのはあまりないことなので、テレビをほとんど見ない私が、久しぶりにテレビを観たくなりました。

しかし調べてみると、番組は地上波ではなくBS放送でやるらしい・・・。
テレビ嫌いな私が、BSなんて入っているわけがない・・・。

ってことで、友達に頼んでビデオ(死語?)に録画してもらいました。

本当はビデオテープ(死語?)にダビングして、家に持ち帰って何回か観直したかったのですが、考えてみると、うちにはビデオデッキすらないので(汗)諦めて友達の家でじっくり観ることにしたのでした・・・。

完全な出来レースだった・・・。

で、こないだ友達の家に行って観てきたわけです。
2時間くらいあったと思いますが、感想としては「出来レース」の一言に尽きます。

何故宇山さんがあのような討論番組の出演を快諾なさったのか分かりません。
あれは自由にやりあう討論ではなく、ある程度決められた時間の枠があって、質問内容も決まっていて、参考資料として提出するグラフ、テロップ、VTRも決まっていて、もうなにもかもが決められているのです。

議論の筋道さえも決まっていたのかもしれません。
お二人はそれ(筋道)を決められたとおりになぞるだけの簡単なお仕事をこなしているようなものです。

決められた枠の中では自由に討論してはいますが、あくまで決められた枠内なので、どんなに主張されようが、結論は同じところに収束していくのです。

もちろんテレビ番組はそうしないと成り立たないのですけどね・・・。(笑)

だからテレビは嫌いなんですよね・・。「本質」じゃないから。
そしてあの番組は「近藤先生が勝つ」ように出来ています。少なくとも、そのように印象づけることには成功しています。

だから分からないんですよ・・・。なぜ討論ではない討論番組に宇山先生が出たのか・・・。
少なくとも番組スタッフと打ち合わせをしているはずですから、どういう「流れ」で進むかは分かっていたと思うんですけどね。

番組中で手術の支援ロボットである「ダヴィンチ」の紹介があったので、そのようなスポンサーの意向もあって番組の出演を決めたと思うのですが、私は準備不足だったと思います。
(※「近藤誠がん研究所」の紹介VTRもあったので、どっちも出演する理由があったということでしょうか)

あれでは、観た人は「近藤先生の言ってることが正しいんだ」と安易に判断してしまうでしょう・・・。

番組最後の両者の顔がそれを物語っています。
近藤先生には余裕が見られましたが、宇山先生のほうは苦虫を噛み潰したような顔をしていました。

テレビの討論では「論理的に妥当かどうか」というのはあまり重要ではなく、「どう印象付けるか」が重要ですからね。(そういうもんです残念ながら)真面目な宇山先生は、真面目に勝負しようとして砕け散ったというとこでしょう。

討論は、近藤さんの方が上手だった

また、討論なら近藤さんの方が慣れていると思います。
彼は紙面上でも対談形式でもいろんな方とやりあっているので、どういう風に議論を持っていけば、こちらが有利になるか分かっているのだと思います。

加えて、医師というのは(私のイメージでは)学会で決められたガイドラインや定説みたいなものから、あまり外れようとはしないんですね。まぁ、当たり前です。(笑)「科学的根拠に基づく医療」というのは、そういうものですから・・・。

だから治療方針について、対立して議論、討論に発展することなんて、あんまりないと思うんですよ。「白い巨塔」の番組でも、「医局がヤクザ組織並みに上下関係がはっきりしている様子」を見事に描いていました。あれを観てると議論することそのものがリスクになることが、よーく分かります。

現在は「新臨床研修制度」により、医局の力はだいぶ弱まってきましたが、それでもまだまだ医局の存在は大きいので、舎弟が兄貴に意見出来ないのと同じように、医師同士で激しく議論することはないと思うのです。(あくまで私の想像ですが)

だから、(全ての医者を敵に回してでも)ご自身の信念を貫かれている近藤医師は「ある意味、スゲーな・・・。」とは思うのですが、そのような荒波に揉まれていなさそうな宇山先生には、今回の討論は難しかったのかな、というのが番組を観た感想です。

「出来レース」ではあるが、議論でも宇山先生は負けていた・・・。

「印象」だけではなく、「議論」でも宇山先生は負けていたと思います。
様々な論点について話し合っていたのですが、全ての議論をひっくり返すような言葉を、宇山先生が仰ってしまったのです。

(胃がんの)手術のエビデンスはないですが、しかし・・・。

これね・・。話の流れの中でポロっと言ってしまったのです。
国内で初めて手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使っての胃がん手術を成功させた宇山医師が、「胃がんの手術のエビデンスはない」ということを認めてしまいました。

「しかし・・・。」のあとになんか色々と言っていましたが、「手術のエビデンスがある」というのが前提ですから、そのあと何をしゃべろうが説得力がありません。

正直私は耳を疑いました。近藤さんが仰るのならば分かります。「さもありなん」って感じです。(笑)近藤さんの著書は何冊か読んだことがありますが、その中には・・・。

胃がん手術を世界で始めて行った偉い人は、根拠がないままに、憶測だけで胃の摘出手術を始めてしまった・・・。

そして今日に至るまで(臨床試験などで)手術の有効性を明確にしないままに、「術式だけ」を進歩させてしまっている・・・。

術式が進歩し、仮に生存率が伸びたとしても、手術の有効性そのものが臨床試験で認められていないのだから、「術式」がいくら進歩しようが、そんなものは意味を成さない・・・。

このように述べられていました。
すみません。どの本かは忘れたのですが、(苦笑)番組中でも(近藤さんが)その話を持ち出していたので、私の記憶はある程度正しいと思います。

「いやいや、さすがにそんないい加減なわけはないでしょ・・・。┐(´∀`)┌ヤレヤレ」

と、本を読んだ時はさすがにそう思いましたので、胃がんの患者を無作為に分けて、片方の群は手術をせずに経過を見る・・・。そしてもう一方の群は、手術をして経過を見る・・・。そのような比較試験が必ずあるはずだと思いましたので、数日間かけて一生懸命探してみました。

しかし、私レベルでは探せませんでした。

もちろん「私が探せなかった」だけで、その道の専門家であればすぐにそのような臨床試験をいくつも提示出来るだろうと思っていましたから、そのように自分を納得させたのですが、専門家である宇山さんの口からそのような発言が飛び出すとは思いませんでした。

もちろん、宇山さんが「単に知らないだけ」の可能性もあります。
っていうか、そう思いたい・・・。もし近藤さんの言うようにエビデンスなしに手術を行っていたとすれば、これは大変なことです。「がんもどき理論」以前の問題だと思います。

近藤さんの窮する場面は意図的にカット?

もちろん、討論(もどき)は近藤先生の圧勝というわけではなく、宇山さんの質問や反論に近藤さんが窮する場面が少なくとも3回はありました。

覚えているものを挙げますと、近藤さんは「胃がんの粘膜層に留まっているガンは、ほとんどが『もどき』だから、切除する必要はない」と言ったのに対し、宇山さんは、「粘膜層に留まっているガンの70%が進行がんに達したという研究があります。先生の意見と矛盾しませんか?」と返したのです。(※「70%」という数字は、若干聞き間違えた可能性がありますが、パーセンテージとしてはかなり高かったと記憶してます)

そのとき、1~2秒くらい近藤さんは下を向いて返答に困っていた様子でした。
「おっ、効いてる効いてる~!」と思って見ていましたが、信じられないことに画面が切り替わったのです。(苦笑)

他の2回も内容は忘れてしまったのですが、近藤さんの痛いところを突いた質問(反論)だったことは覚えています。そのたんびに画面が切り替わったのです。

私が番組を見終わった後に「これは近藤さんの主張に沿う形で番組が構成されている」と感じた理由は、こういうところにあります。テレビはこういうことをよくやります。(笑)

もちろん、そのあとに近藤さんが鋭い反論で返したんだけど、それを番組側が意図的にカットした・・・。

という可能性もありますが、全体的に「近藤さんが正しい!」という印象を持たせる構成になっていることからも、その可能性は低いと思います。

近藤理論に対する強力な反論本が登場!

しかしながら、近藤さん有利の番組構成になっていたとは言え、宇山さんの口から「胃がんの手術のエビデンスはない」と発せられたことは大きいと思います。

もしこれが正しいとすれば、「そりゃー、地上波には出られないよね・・・。」って話です。

しかし最近、近藤さんの理論に対する「強力な反論本」が出版されました。
腫瘍内科医である勝俣範之先生の【「抗がん剤は効かない」の罪】という本です。

この本は、近藤先生が以前に出版された「抗がん剤は効かない」という本に対する反論本だと思われます。まぁ、題名どおりですね。(笑)

私はこの本を購入しましたが、まだ「はじめに」「あとがき」「目次」しか読んでいないので、感想を述べる段階には至っていません。

ただ、目次を読む限り、近藤先生の「がんもどき理論」や「抗がん剤は効かない」で述べられている主張の前提を揺るがすようなことが書かれているような気がしますので、これはしっかり読んで書評(レビュー)したいと思っています。

私自身の考えは、手術は必要な処置であり、抗がん剤治療は基本的には「反対」の考えです。抗がん剤治療もしていません。

抗がん剤治療は(状況にもよるが)やはり微妙だと思う
抗がん剤治療に関する私の考えを、率直に述べます。「延命効果がある」という医学的根拠はありますが、何をもって延命と呼ぶのか考えたことはありますか?「延命の定義」というものが、医療従事者と私達一般人がイメージするものと違う可能性を考えなければいけないと思います。

もちろんそのような考えを読者に押し付けたくはないので、私の考えをブログで発表することはしますが、コメントをくれる方には「標準治療を否定しろ」などという無責任なことは1度も言ったことはありません。

まぁ私は単なる一般人ですから、そこまで発言に気をつけることはないかもしれませんが、病気が病気なだけに、相手の立場や状況、苦しみについては多少分かっているつもりですので、気をつけるようにしています。

私は抗がん剤治療には基本的に反対ですが、この本は私の考えを改めさせてくれる可能性のある本だと思います。

書評(レビュー)しようとは思ってますので、興味がある方は気長に待っていただけたらと思います。

なにせこの本、難しそうです・・・。(´・ω・`)
勝俣先生、あとがきに「一般書として」と書かれていらっしゃいますが、ほんまですか?

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コメント

  1. どらねこ より:

    肝臓がんの方が大麻が癌に効くということで、自宅で栽培し自分で使用していたところ大変効力があったが、見つかり逮捕された。ついては憲法の生存権で無罪を主張したこの裁判が現在進行中で、私は経過を楽しみにしています。
    癌は毒を出している訳ではないので悪液質状態は、食欲が低下しているにも関わらず癌が無理やり体からエネルギーを摂取するためにおこる現象とされておりますので、麻薬等により苦痛を緩和する、食欲を増強させれば余命が伸びることは知られているようです。このため大麻は余命を伸ばすことができるように思います。癌患者の光明の一つになるかもしれません。期待しています。

    • 新里(管理人) より:

      どらねこ様、コメントありがとうございます。

      肝臓がんの方が大麻が癌に効くということで、自宅で栽培し自分で使用していたところ大変効力があったが、見つかり逮捕された。ついては憲法の生存権で無罪を主張したこの裁判が現在進行中で、私は経過を楽しみにしています。

      私もこの裁判については注目しています。

      仰るように、ガンと戦うためには何よりも栄養状態を保つことが大切なので、痛みの軽減や食欲低下を防ぐことが出来れば、「癌による死亡率」を低下できるのではないかと思います。

      私の母も急激に食欲が低下しているものですから、どこか人事とは思えないです。

      抗癌剤で治療している患者と、大麻などの医療麻薬のみで経過観察をしている患者の総死亡率を比較したランダム化プラセボ比較試験が海外などで行われていないか調べていますが、今のところ見つかっていません。

      おそらくそういう比較試験は実験をデザインすること自体が難しいので行われていないかもしれませんが、似たような試験が行われていれば、結果とその考察を記事にしようと思っています。

      今後とも、よろしくお願いします。

      新里

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